ヤマノナcafe

山に関する書籍紹介と山行記録

『鉄鼠の檻』京極夏彦|冬の箱根で煩悩を受け流す

箱根駅伝、見ましたか?
今年は区間賞続出の、熱い戦いでしたね。

箱根駅伝の復路を見ると、
「あーもうお正月も終わりだぁ」と
寂しいような、
身が引き締まるような、
そんな気持ちがします。

さてそんな気分の時に読みたくなるのが、
京極夏彦さんの、京極堂シリーズ4冊目
鉄鼠の檻

時期は、幕の内を過ぎた雪の頃。
舞台は、箱根の山中の、”存在しえない”禅寺。

嫉妬、劣情、自尊心といった、
誰にでもある煩悩を
これでもかとあぶり出してくるミステリーです。

昨年の自らの行いを振り返り、
本年の目標を定めるのにもってこいの作品です。

📚 モヤモヤの置き所を示してくれる本

この物語がなぜ、今の私に刺さったのか。
それは、昨年のある出来事が尾を引いていたからです。

昨年、人間関係でトラブりました。
(ゴシップネタがお好きな方はこちらの記事をご覧ください。)

 

あの子(またの名を蝶)は何を考えてたのか、
どんなつもりなのか。
それがまったく理解できず、
転職した今でも、
定期的に私の心をむしばみます。

そんな時に、この文章を読んで、ハッとしました。

どんなに理解が及ばないからと云って、
理解が及ばぬものを丸呑みにして、
理解したが如き気になっても
始まらないし、
ましてやそれを丸ごと否定してしまっては何も
見えて来ないだろう。

 

理解しようとするのも、
否定するのも無意味なんですね。

過去のことをいつまでも、
ウジウジと悩んでいることが
馬鹿らしく思えてきました。

じゃあ、理解が及ばないものを
どう捉えればいいのでしょう。

その答えを探すように読み進めます。

少しづつ暴かれる、禅寺の過去。
年を取らない迷子の怪や、
13年前の火災事故の真実。
取り乱す、修行を積んだはずのお坊さんーーー。

一度は乱れ、
やがて静かな心を取り戻した
お坊さんは、こう諭します。

魔境は受け流し、ただなされるが宜しかろう。

 

”魔境”を一言で説明するのはちょっと無理。
私なりの解釈ですが、妄想や錯覚、そんなもんだと捉えてください。

「もっと詳しく知りたい」という方は、
鉄鼠の檻』全1358ページをお読みください😂

悟りとは、魔境とは、修行とは、
ということがよく分かります。

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それはさておき、
モヤモヤが心に宿ったときは、
それは魔境なんだから、受け流す。
これが処方だな、と感じました。

モヤモヤし、悩み、受け流し、
いつものように生きていく。

それこそが修行なのかもしれません。

☕ おわりに

箱根駅伝で好きなシーンは、
同じチームの仲間が並走し、
飲み物を渡すところ。

時には励まし、軽く肩をたたき…。

きっと選手は、仲間のひと言で、
やる気を取り戻し、
さらに力強く走れるのでしょう。

この本は、
年末年始の私のモヤモヤに並走してくれました。

 

この先は1人で。

今年も走り抜けるぞ!