ヤマノナcafe

山に関する書籍紹介と山行記録

青春→朱夏→白秋 『折れた岬』の枯れた魅力を味わう

先週のリハビリ登山、重い荷物が肩にのしかかり、筋力も体力も低下しているのを体で感じました。

この日、わざわざぶ厚くて重たい本を山に持って行ってしまったんです。

続きが気になって気になって…

体力低下+荷物重すぎで、肩イターイ。


結果的に修行みたいな登山になったけど、
持って行って良かった。

山頂で本を読み終え、体も心もホカホカの気分で下山してきました。


持って行った小説は有栖川有栖さんの『折れた岬』

有栖川有栖さんといえば、若い男性が主人公の本格ミステリ。

ところが『折れた岬』の主人公は還暦過ぎ。

帯には「初の白秋小説」とあります。

青春時代はとうに過ぎた私。
白秋、いいじゃない!


『折れた岬』の主人公は定年退職した編集者です。

10年前、主人公が担当していた覆面作家が失踪するというトラブルがありました。

彼はそれが、今でも心残りで忘れられない。

定年退職後、主人公は覆面作家が残した家に住み、彼の行方を探し始めます。

すると次々と新事実が明るみになり

 

ません。

 

でも主人公の頭の中では、次々と推理が浮かんでは消え、浮かんでは消えていきます。

その思考を追っていくのが心地よい。


歩いているときに次々と浮かんでは消える、考え事に似ています。

歩くたびに次々と表情を変える、山道にも似ています。


夏の陽射しを残しながらも、少しずつ枯葉が舞いはじめた山の中で、
肩凝りを感じつつリュックを降ろし、
青春ならぬ白秋の中年男性の憂いに触れていると、

あーなんか、青春だけじゃなくて、白秋もいいもんだな

としみじみ思うのでした。

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青春の次は、朱夏となり、その次は白秋、そして玄冬。
私は今、朱夏と白秋を行ったり来たりしてる感じかな。

皆さんはいま、どこにいますか?

還暦を過ぎていまだ青春!

てのも憧れます。

池にメダカは可か非か。多峯主山の雨乞池

飯能の多峯主山の山頂直下に、人工の小さな池があります。

春から夏にかけては、カエルたちが、それはそれはにぎやかです。

カエルぴょこぴょこみぴょこぴょこ状態です。

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いつもは、秋になると、この小さな池も静かになります。

ですが、10月某日に訪れた時は違ったんですよ。

なにやら水面に波紋がたくさんあります。
なんだろ?と思ったら、小さいめだか(多分)が、たっくさんいました。

スイスイ、スイスイ、スイス〜イスイスイ♪です。

どこからやってきたのやら。

眺めていると、見知らぬおじさまが話しかけてきました。

「メダカいるでしょ?
前は赤い金魚とか鮒とかを放した人がいたんだよ。

それを、どこかのバカが、市役所に通報してさ、池を浚って駆除したんだ。

魚がいたほうがいいじゃんね。
いたっていいじゃん魚。

バカがよ、ここに魚はいないんだ、つってさ。
通報するバカがいるんだよ。」

「あーーーどうなんですかねぇ。
かわいいですけどねぇ、メダカ」

おじさまは話したいだけ話すと去っていきました。

どうやら私の意見を聞きたいわけではなかったみたい。

いいけど、別に。


命と、生態系の保護。

とりとめなく考えながら池を眺めていると、また別のおじさまが話しかけてきました。

「メダカいるでしょ?
どこかのバカがよぉ、池に放すんだよ。
前は金魚を放したバカがいて、池を浚って駆除して大変だったんだ。

飼いきれなくなったのか知らねぇけど、無責任なことすんなっての」

「ですよねぇ。
かわいいですけどねぇ、メダカ」

池を見てたら原因と結果が順番に話しかけてきて、ちょっと可笑しかったです。

メダカは池の中から私たちの会話を聞いて、どう思っただろう。

放すバカと、駆除するバカと、
それに対して何も言えない私も、やっぱりバカ。

野生動物から見たら、私たち人間は皆、等しくバカな生き物なんだと思う。

10月15日 秋晴れの天覧山と多峯主山を歩く

爽やかに澄み渡った青空の中、天覧山と多峯主山 に行ってきました。

ここは6月に転んで骨折した場所。

トラウマ克服のためにも、絶対行っとかなきゃいけない。

そんな使命感に燃えて、鼻息荒く、いざゆかん!


4か月ぶりに訪れる天覧山と多峯主山は、すっかり秋の雰囲気です。

 

カラスウリ👇

夏の忘れ物みたいに、ポカンとぶら下がってます。

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オトコヨウゾメ・・・かなぁ?👇

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サクラタデ👇

初めて見ることができた!
大振りな花でかわいい!

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アキノタムラソウ👇

よく見かけるけど名前が分からなかった花。
そうか。君は、名前に秋がつくんだね。
秋に山に来れて、秋の名がつく君を見れてうれしい。

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秋といえばススキ👇

トンボがたくさん飛んでるの。
写真では分からないのが残念。

 

 

こんな山野草が彩る登山道をてくてく。

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日差しはまだまだ強いけど、空気は少しひんやり。

見上げれば、木の葉はだいぶ落ちて、空が透けて見える。

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この輪郭があいまいな木漏れ日が、秋よねぇ~。

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ね~
もう、
山ってさぁ、

 

やっぱ最高!

 

骨折のトラウマ完全克服…はまだだけど、

体力も落ちたけど、

山歩きを楽しむぞー!

葛って地球を侵略しに来た宇宙人に見える

10月某日、荒川沿いの遊歩道を散歩していました。

右には川。
左には畑。

のどかな雰囲気を楽しみつつ歩いていると、行く手をはばむものが👇

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畑と遊歩道の境界に植えられた街路樹を覆いつくし、川沿いの桜にまで侵略の手を広げる、葛、葛、葛。

遊歩道側は全面、葛に覆われて、下にある木がなんなのか判別もできません。

足元に目をやれば、地面からも侵略しようとしているのか、じわじわと蔓を伸ばしています👇

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意志があるようにも見えて少し不気味。

幾本もの木に覆いかぶさり、巨大な塊と化した葛は、
地球侵略にやってきた怪物みたい。

 

 

いつか地球全体が、葛に覆われたりして。


先月、森林ボランティアで葛の除去を行いました。

葛は放っておくとどんどんはびこり、森を枯らしてしまうそうです。

とはいえ、私は葛の花が大好き。

甘くていい香りだし、紫色の花びらは可憐です。

ベランダで栽培したい!と思い、伐採した葛を少し持ち帰りました。

ボランティアの先輩に
「絶対に直植えはダメよ!収拾つかなくなるから!」
と念を押されたので、植木鉢に刺してみました。

切った茎からも根っこが出て増えるんですって。

 

小さい植木鉢にちょこんと植えると、3枚複葉のハート型の葉が愛らしい。

地球を侵略しにきた宇宙人を、ゲージにいれて飼ってるような気分です。

るんるんで水をあげていましたが。

まぁ、速攻で枯れましたよ。
真っ茶色に。

 

葛も含め雑草って、そこらへんに生えてる癖に、いざ自宅に植えようとするとうまくいきません。

雑草のそんな「あなたに私が扱えるのかしら?ウフフ」みたいなところが好き。

磐梯山噴火。その時、人は。『鹿鳴館の花は散らず』

前回、富士山噴火に翻弄される人々を描いた小説『赫夜』をご紹介しました。

噴火繋がりで『鹿鳴館の花は散らず』を再読したので、感じたことを書いていきます。

前期の朝ドラ『風薫る』とも被っていたので😁

 

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『鹿鳴館の花は散らず』の主人公は、鍋島榮子さん。

「鹿鳴館の花」と称されながらも、自ら被災地に赴き、赤十字活動を支えた女性です。


磐梯山が噴火したのは明治21年。

死者数百人、怪我人は数しれず、とても大きな被害を生みました。

村が丸ごと土砂で埋もれたところもあり、
小学校やお寺に、怪我人や病人が集められたそうです。

焼けただれたものや、
皮膚が深く抉れ骨が露出したものが、
蒸し暑い部屋でうめき声をもらす。

さながら地獄絵図のようだったそう。


そんな中、救援に現れたのが、日本赤十字社率いる
篤志看護婦人会。

彼女たち一行は、会津で災害に苦しむ人々に、拍手喝采で迎えられ…

られませんでした。
一部の人からは。


磐梯山は会津藩。

篤志看護婦人会の鍋島ながこさんは、佐賀藩のお姫様。

歴史に詳しい人はピンとくると思います。
(私はきませんでした)

20年前、戊辰戦争で、すでに降伏してる会津藩をメッタ打ちにしたのが、かつての同志の佐賀藩。

恨み骨髄。

そりゃあ嫌味のひとつも言いたくなりますよ。
たとえ助けに来てくれた人だとしても。

それでも毅然とした態度で看護を続ける鍋島榮子さんが立派!

爪の垢を煎じてお茶にして販売してほしい。

毎日買うわ。


ここからは、彼女が看護婦養成所を立ち上げるという話に発展していきます。


話は脱線しますが、前期の朝ドラ『風薫る』は、明治の看護師・大関チカさんが主人公でした。

かつて「鹿鳴館の花」と称された鍋島榮子。
得意の英語を武器に、鹿鳴館で働いた大関チカ。

この2人、どこかで会話を交わしたこともあったりして?

元ネタの小説『大関チカ物語』を前に読んでいたんです。

私はドラマを見る習慣がなく、「あー、読んだ本がドラマになってる。見たいなー」と思いつつ、やっと見る気になったのが今。

『鹿鳴館の花は散らず』を読んで、「じゃあドラマも見るか」と思ったらもう、終わってた…(泣)

大山捨松、多部未華子さんかよ!

ネットで見たら超絶美しいじゃねえか!

 

そういえばドラマ『VIVANT』も評判を聞いて見たんだけど、最終回でわけ分からなかったんですよね。

 

ちっくしょーーー!

 

 

 

 

もしも私が平安時代の遊女だったら。『赫夜(かくよ)』あらすじと感想

本の世界に夢中になっていると、自分が作中の人物になったような気持ちになることがあります。

私がこの度潜り込んだ世界は、
澤田瞳子さんの『赫夜』。

平安時代の富士山噴火に翻弄される人々を描いた群像劇です。

私は、賎機(しずはた)率いる遊女軍団の一員となりました。



あたしは富士ノ御山が噴火した時、横走の市にいたんです。
たくさんの人が行き交っていて、いろんな食べ物も売っていて、それは賑やかでした。

突然、
ドーンと音がして。
グラグラっと揺れて。
焼灰や石礫が降ってきて。

あたしの妹分の、小幡に石があたったんです。
血がダラダラ流れて…

小幡の未来の夫がいる、岡野牧(馬の牧場)に避難できたのはラッキーでした。

粗末なあばら家だけど、食べ物も恵んでもらえたし。

小幡のケガも少しずつ回復してきて、本当にホッとしました。

でも毎日不安でした。

郷に戻れるんだろうか。
商いはできるんだろうか。

あたしたち、そんな話しばっかりしてました。

なのに。

小幡だけは幸せそうに笑ってるんです。
未来の夫と顔を見合わせて。

あたし、それ見てイライラしちゃって。

嫉妬…なんですかね。


あたしたち遊女は、
里から里へ渡り歩く、流浪の民です。

後ろ盾なんかなんもない。

だから、遊女たちはみんな、助け合って生きてきたんです。

あたしたちに血の繋がりはないけど、もっと濃い絆があるって、
あたし、本気で思ってました。


小幡が騒動を起こした時、あたし、「ざまあみろ」って思ったんです。
泣く小幡を見て、少しスッとしてしまったんですよね。

そしたら賎機(しずはた) さまに、「小幡のこと、気にかけてあげてね」って言われて。

なんでよ。

小幡のせいであたしまで、白い目で見られてんのに。
あたしのことは誰が気にかけてくれるのよ。


富士ノ御山は、今でも煙を吹いてます。
火山灰も降ってきます。

憎たらしいたらありゃしない。
なにもかもあの山が悪い。

でも、

富士ノ御山も、ずっとずっと何かを我慢してたのかな。

それで爆発しちゃったのかな。

憎い憎い富士だけど、なんか、親近感を持っちゃってるんですよね、最近。

あたしもそろそろ、どっかーーーんって爆発してやろうかしら。

なんてね。

富士山噴火。その時、人は。『赫夜(かぐよ)』澤田瞳子

富士山がかつてたびたび噴火し、多くの人を苦しめたのは有名な話。

今よりも情報も物資も少ない時代、大災害に人々はどう対応したのでしょうか?

澤田瞳子さんの著書『赫夜』は、平安時代の富士山噴火と、それに翻弄される人々の苦悩と奮闘を描いた小説です。

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噴火、降り積もる火山灰、火災…

次々と襲う災害から、幸いにも命拾いした人々は、いくつかの集落に集まり、失った生活を取り戻そうとあがきます。

それでも次から次へと振りかかる厄災に、人々は無ずすべもなく慌てふためくばかり。

私もきっと、そんな災害を目にしたら、
「前を向いて新しい生活を!」
とか思えない。

まずは泣きわめき、
怒り、
誰かのせいにして、
小屋の隅でふてくされて、いつまでもうずくまってそう。

気がつけば私は、集落の一員となった気持ちで本を読んでいました。

だからこそ、集落の人たちが、瓦礫に花を植えるように復興していく姿には泣けて泣けて…

 この世は荒れ狂う波間に浮かぶ、小さな木の葉のようなものではないか。
そこに生きる一人一人とて、実は野面の小さな蟻より空しい存在なのだ。

今、私は幸いなことに災害の渦中ではないけど、荒れ狂う波間の小さな木の葉状態であることは間違いない。

「ちゃんとしなきゃ!」

って考えてたけど、しょせん私たちは小さい蟻でしかないんだから、何ができるもんでもない。

今日、職場で何かトラブっても、「私頑張る!」じゃなくて、同僚と一緒に泣きわめいてやろうと思います。