
今回は、植物の描写が魅力的な小説を2冊と詩1編をご紹介します。
たんぽぽや秋海棠やユキノシタ…
色とりどりの野草が彩る物語をご堪能ください。
📖 『f植物園の巣穴』梨木果歩

明治末期〜昭和初期の街が舞台です。
主人公はf植物園で沼を整備する仕事をしている男。
ところが、
身の回りに妙なことがおこりはじめ…
歯医者の奥様が犬だったり、
大家さんが鶏頭になったり、
夢で見た景色の中に、現実にで迷い込んだり…。
現実とファンタジーがパッチワークのように入交る街で、
主人公がどうしても思い出せない過去を思い出したとき、
みえてくる真実とは?
植物園が舞台だけあって、次から次へと
植物の名前が出てくるのが魅力。
秋海棠、犬雁足、白木蓮、
これらが季節外れに咲き誇っている小径を見つけたらーーー
行ってはいけませんよ。
戻ってこれなくなっちゃうかも…
📖 『植物図鑑』有川浩

雑な生活を送っていた主人公(女性)は、
アパートの下で行き倒れていた男性を介抱します。
この男性がよくできたヤツで、
彼女の荒れた食生活を立て直してくれます。
雑草で。
ご存じでした?
タンポポや、ユキノシタ、スベリヒユ、
意外な雑草が美味しく食べれるんですって。
毎週日曜日になると、
2人で川や山に出かけ、
草花を摘んで料理して、
一緒に食べる。
しかもとびきりタイプの男性と。
遠慮がちだった2人が、
少しずつ心を通わせる描写は、
じれったく甘く、
もう、最高すぎるシチュエーションのラブコメです。
山野草を摘んで、料理して食べる。
やってみたい!と何度も思いました。
1人でではなく、この物語の男性のような人と一緒に…😁
巻末に雑草レシピが載ってるところも
おすすめポイントの一つです。
🖋️ 晩夏 木下夕爾
最後に詩をひとつ。
停車場のプラットホームに
南瓜の蔓が這いのぼる
閉ざされた花の扉のすきまから
てんとう虫が外を見ている
軽便者が来た
誰も乗らない
誰も下りない
柵のそばの黍の葉っぱに
若い切符きりがちょっと鋏を入れる
☕ おわりに
「晩夏」の主人公は、
誰かが電車から降りてくるのを待っていたように感じます。
待ち人は来ず、残念だけど、
少しほっとしたような雰囲気を感じる、
好きな詩の一つです。
いつのまにか、夏も終わり、
秋も終わりそうな季節になりました🍂
こんな季節はやっぱり、
山と読書かなー😁